DEERHUNTER『Why Hasn't Everything Already Disappeared?』

設立40周年を迎えた英国のインディー・レーベル、4ADを代表するDEERHUNTERが提示するバンドの新たな可能性。タイトル"Why Hasn't Everything Already Disappeared?(なぜすべてが消えていないのか?)"とアートワークを目にしたあと、本作を聴いて、まずその一文が頭に浮かんだ。カオティックな歌詞とテーマでありながら、華麗で儚いサウンドを調和させ、独自の世界観を形成してきた彼ら。今作の軸に据えるのはクラウト・ロックだが、ハープシコードやストリングス、ピアノが加わり、その音の鳴りはナチュラル且つクラシカルだ。このポスト・モダン的な手法により洗練された世界観はさらに深度を増し、美しさで空間を支配する。創意に満ちた1枚。(滝田優樹)